このページの結論
- 遺言で「すべて長男に」と書かれていても、一定の相続人には最低限の取り分が残ります。
- 知ってから1年で請求できなくなります。まず期限を確かめてください。
- 請求したあとにも、別の期限があります。送っただけでは終わりません。
遺言を見たら、自分の取り分がほとんど書かれていなかった。あるいは、生前に特定の相続人へ多額の贈与がされていて、残った遺産がわずかしかない。
こうした場合でも、一定の相続人には最低限の取り分が法律で保障されています。これが遺留分です。侵害された分は、金銭で請求できます。
遺留分を請求したいとき、まず何をするか
期限を確かめてください。遺留分の請求には1年という短い期限があり、これを過ぎると請求できなくなります。
数え始めは、相続が起きたことと、遺留分を侵害する遺言や贈与があったことの両方を知った時です。遺言の存在を後から知った場合は、その時点から数えます。
金額が固まっていなくても、先に請求できます
遺産の全体像が分からないと、いくら請求できるか計算できません。しかし期限は待ってくれません。まず内容証明で請求だけを済ませ、金額の交渉はそのあとに行います。調査を終えてから請求しようとして、期限を過ぎてしまう例があります。
こうしたご相談を受けています
- 「すべての財産を長男に相続させる」という遺言が出てきた
- 亡くなる前に、特定の相続人へ多額の贈与がされていた
- 相続人ではない人に、財産のほとんどが遺贈されていた
- 請求したいが、遺産がいくらあるのか分からない
- 請求したが、相手が支払いに応じない
遺留分を請求できる人、できない人
すべての相続人に遺留分があるわけではありません。
| 立場 | 遺留分 |
|---|---|
| 配偶者 | あります |
| 子(亡くなっている場合は孫) | あります |
| 父母・祖父母 | あります |
| 兄弟姉妹・甥姪 | ありません |
兄弟姉妹には遺留分がありません。子どものいない方が「財産はすべて配偶者に」という遺言を残せば、兄弟姉妹は何も受け取れません。これは法律がそう定めています。
割合の考え方は遺留分侵害額請求で説明しています。
生前の贈与も対象になります
遺言だけでなく、亡くなる前の贈与も計算に入ります。ただし、いつまでさかのぼれるかが決まっています。
| 贈与を受けた人 | さかのぼれる期間 |
|---|---|
| 相続人(結婚や生活の元手のための贈与) | 相続開始前の10年間 |
| 相続人以外の人 | 相続開始前の1年間 |
なお、遺留分を侵害すると分かったうえで贈与された場合は、この期間の制限を受けません。「気づかれないうちに移しておこう」という贈与は、何年前でも対象になりうるということです。
遺留分の請求を弁護士に依頼すると、何が変わるか
期限に間に合わせられる
1年は、思うより短い期間です。葬儀と当面の手続を終えて、遺言の内容を知り、どうするか迷っているうちに過ぎていきます。
弁護士名の内容証明で、確実に期限内に請求します。いつ、誰に、何を請求したかが記録として残るため、後から争いになりません。
遺産と贈与を調べられる
いくら請求できるかは、遺産の総額と、過去の贈与の内容で決まります。しかし遺言で多くを受け取った側が、こちらに情報を出してくれるとは限りません。
預貯金の取引履歴や不動産の登記を取り寄せ、財産の全体像を組み立てます。生前の贈与は、通帳の動きから見つかることが多くあります。
調停・裁判まで続けて任せられる
請求しても相手が支払わない場合は、家庭裁判所の調停に進みます。それでもまとまらなければ、裁判で判断を求めます。
段階が変わっても担当は変わりません。すでに請求を済ませた段階からでもお引き受けします。
遺留分の請求には、期限が2つあります
ここが見落とされやすいところです。期限内に請求しただけでは終わりません。
1
請求するまでの期限
相続が起きたことと、遺留分を侵害する遺言や贈与があったことの両方を知った時から1年。何も知らないまま時が過ぎた場合でも、相続開始から10年で終わります。
2
受け取るまでの期限
請求すると、金銭を支払ってもらう権利が生まれます。この権利にも期限があり、放っておくと消えます。請求書を送っただけで安心して、回収を進めないまま時効にかかる例があります。
内容証明を送ったあと、相手が話し合いに応じないまま年月が過ぎている。そうした状態でしたら、いま何年目かを確かめてください。
遺留分について、いつ相談すればよいか
| いまの状況 | 急ぐ度合い |
|---|---|
| 相続が起きたが、遺言があるかどうか分からない | 低い |
| 遺言の内容を知り、自分の取り分が少ないと分かった | 高い |
| 知ってから、半年以上が過ぎている | 非常に高い |
| 請求したが、相手が応じないまま数年が過ぎた | 至急 |
他の分野と違い、遺留分は知った時点でほぼ「高い」から始まります。1年という期限が、それだけ短いためです。迷っている時間そのものが不利に働きます。
遺留分の請求代理をご依頼いただいてからの流れ
1
遺留分があるかの確認
相続人の範囲と遺産の内容から、そもそも遺留分があるか、いくらになるかの見当をつけます。あわせて期限が迫っていないかを確かめます。
2
侵害している行為の特定
遺言の内容、生前の贈与、遺贈のうち、どれが遺留分を侵害しているかを調べます。誰にいくら請求するかは、ここで決まります。
3
内容証明による請求
期限に間に合うよう、まず請求を済ませます。金額が固まっていなくても構いません。ここで1つ目の期限が止まります。
4
遺産と贈与の調査
預貯金の取引履歴、不動産の登記や査定などを取り寄せ、請求できる金額を算定します。
5
交渉・調停・裁判
金額を示して交渉します。応じない場合は家庭裁判所の調停へ、まとまらなければ裁判へ進みます。
6
受領
決まった内容に従って支払いを受けます。分割の場合は、支払いが続いているかを見届けます。
遺留分の請求代理にかかる費用
着手金と、受け取れた金額に応じた報酬金をいただきます。ご事情によっては、着手金をお預かりしないプランをご利用いただける場合もありますので、ご相談の際にお尋ねください。
金額は弁護士費用・料金のページに掲載しています。
遺留分でお困りの方からのご質問
遺言に「遺留分は請求しないこと」と書いてありました
そう書かれていても、請求できます。遺言で遺留分をなくすことはできません。
「請求すれば親不孝だ」といった書き方がされていることもあります。気持ちの面で重く受け止める方がいますが、権利があることに変わりはありません。
不動産を取り戻せますか
いいえ。請求できるのは金銭だけです。不動産そのものの持分を取り戻すことはできません。
2019年7月1日より前は「遺留分減殺請求」という制度で、不動産の持分を取り戻す形でした。その結果、望まない共有状態が生まれることが多く、現在の制度に改められています。古い情報を載せたままの解説が今も残っているため、ご注意ください。
遺産がいくらあるか分からず、請求できません
金額が分からなくても、請求はできます。先に請求して期限を止め、それから調べます。
調べ終わってから請求しようとすると、間に合わないおそれがあります。順序を逆にしないでください。
相手にすぐ払えるお金がないようです
遺産の多くが不動産の場合、相手に現金がないことがあります。この場合、裁判所が支払いの期限を猶予することがあります。
受け取れないわけではなく、時期の問題です。分割での支払いを取り決めることもあります。
遺留分について、さらに詳しく
- 遺留分侵害額請求 割合と計算の考え方
- 相続人の範囲と法定相続分 誰が相続人になるか
- 3種類の遺言書 遺言の形式と効力
- 公正証書遺言の調査 遺言があるかを調べる
- 相続財産の調査 遺産の調べ方
- 特別受益 生前の援助をどう扱うか
遺産分割そのものでお困りの方は、遺産分割にお困りの方へをご覧ください。
