この記事の結論
- 請求された側が何も言い返さないことは、ほとんどありません。
- 大事なのは、その反論が法律上、金額に影響するものかどうかです。
- 4つとも、認められれば請求そのものが退けられます。金額の話ではありません。
- ただし認められやすさは違います。「もう破綻していた」が最も認められにくく、実際には金額が下がるにとどまることが多くなります。
請求すれば、たいてい何か言い返されます。逆に、請求された側が「何か言えることはないか」と探すのも当然のことです。
問題は、それが結論を変える反論かどうかと、実際に認められるかどうかです。この2つは別の話です。よく出てくる4つを順に見ていきます。
「肉体関係はない」
非常に効きます。
肉体関係があったことを示す責任は、請求する側にあります。「なかった」と証明する必要はありません。
そのため、証拠がなければ請求は通りません。何が証拠になるかは不倫・浮気の証拠となるものにまとめています。
キスなどの行為で認められることもありますが、金額は小さくなります。
請求する側は、先に証拠を確かめてください
手元の材料で足りるかどうかが、そのまま結論を分けます。請求してから足りないと分かると、相手に警戒され、証拠を消される可能性があります。
「時効が過ぎている」
過ぎていれば、非常に効きます。
不倫の事実と相手を知ってから3年で時効になります。
ただし、数え始めは浮気があった日ではなく、知った日です。また、関係が今も続いているなら、直近3年分は請求できる見込みがあります。「3年過ぎている」と言われても、そのまま受け取らないでください。
数え方は不倫慰謝料の時効で詳しく説明しています。
「既婚者だと知らなかった」
認められれば、請求は退けられます。ただし、認められることは多くありません。
慰謝料が認められるには、不倫について故意か過失が必要です。既婚者と知らず、知らなかったことに落ち度もなければ、金額が下がるのではなく、請求そのものが通りません。
効き目としては、4つの中でも大きいほうです。
問題は、それが認められる場面が限られていることです。はっきり知らなくても「既婚者かもしれない」と思っていれば、故意があったと扱われます。
指輪、休日に連絡が取れない、家に呼ばれない。こうした事情があれば、疑う余地はあったと見られます。本当に知らなかったと認められるのは、かなり例外的な場合に限られます。
「もう夫婦関係は壊れていた」
完全に破綻していれば、請求は退けられます。ただし、4つの中で最も認められにくい反論です。
すでに壊れていた夫婦関係なら、守るべきものがなく、不倫による苦痛も生じないはずだ、という理屈です。筋は通っています。
問題は、破綻と認められる基準が高いことです。
- 離婚したいと考えていた → これだけでは破綻とは認められません
- 別居していた → 別居しているだけでは足りません
「既婚者と知らなかった」より、さらに認められにくいのが実際です。
そのため、この反論の出番は多くの場合、金額のほうになります。破綻とまでは言えなくても、関係が薄くなっていたとして、金額が下がることはよくあります。
整理すると
| 肉体関係はない | 証拠がなければ通らない。効く |
|---|---|
| 時効が過ぎている | 本当に過ぎていれば、効く |
| 既婚者と知らなかった | 認められれば退けられる。認められにくい |
| 夫婦関係は壊れていた | 認められれば退けられる。最も認められにくい。金額は下がりやすい |
4つとも、認められれば払うかどうかが変わります。違うのは、認められやすさです。
下の2つは、認められる見込みが薄いぶん、金額を下げる材料として使うほうが現実的です。ここを取り違えると、通らない主張に時間を使うことになります。
言われた内容を、そのまま持ってきてください
請求した側であれば、相手の反論が本当に効くものなのか。請求された側であれば、手元の事情が金額を下げる材料になるのか。どちらもお聞きすれば見当をお伝えできます。
